建築物清掃業登録とは|発注者が確認するポイント
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
建築物清掃業の登録は任意であり、発注者は営業所単位の登録情報を確認しても、それだけで品質や実績を判断しません。登録の有無を選定の結論にするのではなく、確認日、営業所所在地、仕様書、作業報告などを分けて確認します。
この制度は、建築物清掃業を営む営業所が一定の基準に適合している場合に登録を受けられる仕組みです。発注者にとっては、制度の性格と公表情報の範囲を理解し、登録情報を過大に読まないことが重要です。
建築物清掃業登録とは
建築物清掃業の登録は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2第1項第1号に基づく任意の制度です。制度の根拠、確認単位、有効期間を先に整理すると、登録情報が示すことと示さないことを区別できます。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 制度の性格 | 登録を受けることができる任意登録 |
| 登録の単位 | 営業所ごとに所在地を管轄する都道府県知事が登録 |
| 登録基準 | 機械器具、監督者、研修、作業方法等の基準 |
| 有効期間 | 6年 |
| 確認の基準日 | 公表ページの確認日と営業所所在地 |

任意登録と営業所単位の早見表
建築物清掃業の登録は義務ではなく、登録を受けずに建築物清掃業を営むこと自体は適法です(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2第1項、2026-09-05確認)。登録は会社全体ではなく営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事が行います。
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会によると、建築物清掃業の登録営業所数は2024年度末で3,904営業所です(同協会「歴年の登録営業所数」、2026-09-05確認)。これは任意登録を受けた営業所の数であり、会社数ではなく、同一法人の複数営業所も含みます。
制度を定める法律の現行版の施行日は2025-06-01、改正公布日は2022-06-17です(同法、2026-09-05確認)。発注時には、制度の版だけでなく、実際に担当する営業所の所在地と確認日を記録します。
登録基準と品質評価を分ける
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第25条は、真空掃除機と床みがき機、清掃作業の監督を行う者、従事者研修、作業及び機械器具等の維持管理方法に関する登録基準を定めています(2026-09-05確認)。これらは登録基準であり、個別の施設における品質・実績の評価や優良性の認定ではありません。
発注者は、登録情報とは別に、仕様書への適合、作業報告、品質確認、連絡体制を確認します。登録情報を見積比較に使う場合も、同じ列に品質の評価を置かず、何を確認した情報かを分けて記録します。
発注者が確認できる登録情報
公表ページでは、制度の概要と、都道府県ごとに公表されている登録営業所の案内を確認できます。発注者は、検索結果だけで終えず、参照したページ、営業所所在地、確認日を残します。

公表される登録営業所ページの探し方
厚生労働省の「建築物における衛生的環境の確保に関する事業の登録について」では、制度概要と登録を受けられる業種を確認できます(2026-09-05確認)。営業所の公表情報を探す際は、日本建築衛生管理教育センターの「登録営業所」を起点にし、都道府県ごとの公表ページへ進みます。
同センターのページは、都道府県知事等の登録を受けた営業所を公表しているページを集約する案内です。条例で権限が移譲されている地域では、市が公表するページを参照する案内もあるため、担当営業所の所在地に対応するページを確認します(同センター「登録営業所」、2026-09-05確認)。
見積の依頼時に登録情報を確認項目に含める場合は、参照したページと確認日を、施設条件と同じ資料に記録します。清掃見積の依頼時に伝えるべき情報を使い、登録情報がどの営業所に関する確認かを明確にします。
確認日と営業所所在地を記録する

登録情報は、会社名だけでなく、担当営業所の所在地と確認日を一組で記録します。複数の都道府県に施設がある場合、担当する営業所が異なれば、確認する公表ページも同じとは限りません。
多拠点での確認項目は、拠点の例外条件と同じ管理表に置くと見失いにくくなります。多拠点清掃の一括発注の進め方のように、拠点ごとの担当と確認日を残す運用にします。
登録情報を発注判断で使う際の注意
登録情報は、営業所単位の制度情報として扱い、品質・実績・価格の評価と混同しないことが大切です。発注者側の比較表では、登録情報、仕様書の条件、作業報告、品質確認を別の欄に置きます。

未登録を違法・劣後と扱わない
登録を受けずに建築物清掃業を営むことは適法であり、登録がないことを違法又は劣後の情報として扱いません(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2第1項、2026-09-05確認)。発注判断では、個別の営業所について不利益な推測をせず、確認できた制度情報だけを記録します。
ただし、登録が任意であることと、登録の表示が自由であることは別の事項です。登録を受けずに「登録建築物清掃業」やこれに類似する表示をすることは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の10により何人に対しても禁止されており、違反は10万円以下の過料の対象です(同法第18条第3号、2026-09-11確認)。過料は秩序罰であり、登録を受けずに建築物清掃業を営むこと自体が違法になるわけではありません。
発注者が確認すべき中心は、登録の有無を優劣に変換することではありません。依頼範囲、作業体制、品質確認、報告方法が同じ仕様書に沿っているかを確認します。
登録と実績・品質を混同しない
登録基準には、機械器具、監督者、研修、作業方法などが含まれます。一方で、登録情報だけから、特定の施設で期待どおりの品質が継続するか、どのような実績があるかを判断することはできません。
清掃仕様書に置く品質基準、是正方法、作業証跡を別途確認します。発注者向け清掃仕様書の作り方を使って、登録情報と日常の品質管理を別に管理します。
登録を受けた営業所に関わる制度上の扱い
登録を受けた営業所については、有効期間と登録基準に関する制度上の扱いがあります。発注者は、制度の手続を代行するのではなく、公表情報を確認した日付と、契約上確認する事項を分けて記録します。

有効期間と更新確認
登録の有効期間は6年です(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2第4項、2026-09-05確認)。期間を超えて登録業者である旨を表示する場合は、新たに登録を受ける必要がありますが、登録の有効期間と清掃業を営むことの可否は別に扱います。
発注者は、契約先に更新手続を求める立場ではなく、確認した情報の基準日を残します。見積又は契約の確認項目として置く場合も、有効期間だけで品質を判定しないことが前提です。
登録基準に適合しなくなった場合の流れ
登録営業所に対して、都道府県知事は必要な報告を求め、立入検査を行うことができます(同法第12条の5、2026-09-05確認)。登録基準に適合しなくなったときは、都道府県知事が登録を取り消すことができると定められています(同法第12条の4)。登録が取り消された後も登録業者である旨の表示を続ければ、表示の制限(同法第12条の10)の違反となり、10万円以下の過料の対象です(同法第18条第3号、2026-09-11確認)。
報告の拒否、虚偽報告、立入検査の拒否などには30万円以下の罰金が定められています(同法第16条第4号、2026-09-05確認)。これは登録制度に関する規定であり、登録情報を発注者が品質評価へ置き換える根拠にはなりません。
相見積の比較では、登録の確認結果を一つの情報として記録し、仕様・品質・報告の条件と混同しません。清掃相見積の進め方で、同一仕様での比較手順を確認できます。
まとめ
建築物清掃業の登録は任意であり、営業所ごとに確認する制度です。発注者は、公表ページ、営業所所在地、確認日を記録し、登録情報が示す制度上の事実と、品質・実績・価格の判断を分けます。
見積や契約では、登録情報だけで結論を出さず、仕様書、作業体制、作業報告、品質確認を同じ比較表で確認します。登録制度の情報を過大に読まないことが、発注条件を正確に比べるための土台になります。
法令・制度に関する記事は法令・制度解説で一覧できます。掲載内容の訂正や質問はお問い合わせから、ほかの記事は記事一覧から確認できます。
よくある質問
- Q. 未登録の清掃会社へ依頼することは違法ですか
- 建築物清掃業の登録は任意です。登録を受けずに建築物清掃業を営むこと自体は適法であり、登録がないことを違法と扱いません(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2、厚生労働省「建築物における衛生的環境の確保に関する事業の登録について」、2026-09-05確認)。
- Q. 登録があれば品質は保証されますか
- 登録は機械器具、監督者、研修、作業方法などの登録基準に関する制度です。品質・実績の評価や優良性の認定ではありません(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の2、同法施行規則第25条、2026-09-05確認)。
- Q. 全国の登録営業所を一つの名簿で確認できますか
- 日本建築衛生管理教育センターの「登録営業所」は都道府県等の公表ページを案内しますが、全国の営業所を完全に網羅する一覧として扱いません。自治体ごとの公開状況・更新日を確認します(同センター「登録営業所」、2026-09-05確認)。
出典
- 1.建築物における衛生的環境の確保に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 2.建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(laws.e-gov.go.jp)
- 3.建築物における衛生的環境の確保に関する事業の登録について(mhlw.go.jp)
- 4.登録営業所(jahmec.or.jp)
- 5.歴年の登録営業所数(j-bma.or.jp)