日常清掃の費用を比較する条件|オフィス・事業所向け
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
日常清掃の費用は、清掃回数だけでなく対象区画、利用時間、立入条件、報告方法までそろえて比較します。月額だけを見ると、毎回の作業内容やごみの扱い、報告の範囲が違う見積を同じものとして扱ってしまいます。オフィス・事業所の継続委託では、条件を記録してから総額を確認する順序が必要です。
日常清掃は、利用者がいる時間帯に合わせて、共用部や執務室を継続的に整える契約上の作業です。面積、頻度、対象区画をそろえたうえで、資機材、報告、変更時の扱いまで比べると、金額の意味を読み取りやすくなります。
日常清掃の費用比較でそろえる条件

日常清掃の比較条件とは、毎回行う作業の対象と、実施できる時間・場所を同じ形で示す情報です。面積は基礎情報の一つですが、同じ広さでもトイレ、給湯室、エントランス、執務室では作業内容が異なります。
| 条件 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対象区画 | エントランス、執務室、給湯室、トイレ、ごみ集積スペース |
| 頻度 | 毎回行う作業、曜日ごとの作業、定期的に行う作業 |
| 時間と立入 | 作業可能な時間、入退館、在館者、鍵の受け渡し |
| 報告 | 作業報告書、連絡事項、確認者、提出時点 |
対象区画と作業範囲を分ける
対象区画は、床を清掃する場所だけでなく、ごみの回収場所、洗面台まわり、給湯室のように作業内容が異なる場所に分けます。「共用部」とまとめる場合も、含む場所と含まない場所を記載します。床みがき機による作業や樹脂ワックスを扱う作業は、日常の作業と同じ欄に混ぜず、対象と実施時期を分けます。
区画ごとの作業範囲を表にすると、見積の金額差を作業量の差として確認できます。ダストモップ、自在ほうき、真空掃除機などの資機材を誰が用意するかも、対象区画と対応させます。清掃をしない区画を明記することも、総額を比較する前提です。

頻度・時間帯・立入条件を記録する
頻度は、週に何回という回数だけでなく、毎回の作業と月に一度だけ行う作業を分けて記録します。早朝、日中、閉館後では、在館者との調整、会議室の利用、入退館の手順が変わります。作業可能な開始時刻と終了時刻、入館できない日を、各社へ同じ形で伝えます。
立入条件は、鍵の受け渡し、受付への連絡、執務室へ入れる時間など、現場で作業できる範囲を左右します。条件が変わったときは、口頭の連絡だけにせず、仕様書と比較表の該当欄を更新します。利用時間を含めて記録すると、同じ頻度でも実施条件が違うことを確認できます。
継続委託の費目を読む

継続委託の見積では、毎回の清掃作業に直接関わる費用と、資機材、報告、管理の範囲を分けて確認します。費目の名称が同じでも、含まれる対象区画や連絡の仕組みが異なれば、総額の意味は変わります。
直接人件費と諸経費を混同しない
国土交通省「令和8年度 建築保全業務労務単価」では、清掃員の全国平均は1日8時間の直接人件費を積算する参考単価として16,793円です(2026-09-06確認)。この単価は官庁施設の積算に用いるもので、法定福利費、研修訓練などの業務管理費や一般管理費等の諸経費を含みません。民間の外注契約単価を拘束しないため、月額の発注単価や人件費の確定額としては使いません。
見積を読む際は、直接人件費の参考情報と、総額に含まれる管理の範囲を分けます。作業報告書の確認、拠点からの連絡、欠員時の対応、研修のように現場作業以外に関わる項目は、どこまで提供範囲に含まれるかを確認します。金額を一つの要素へ還元せず、作業と管理の両方を見ます。
資機材・ごみ搬出・報告の扱いを確認する
資機材では、清掃用カート、真空掃除機、洗剤、分別ごみ袋を誰が用意するかを記載します。ごみは、施設内の回収と施設外への搬出を分け、どこまでを契約の対象にするかを確認します。作業報告では、実施日、対象区画、完了した作業、連絡事項を同じ順序で受け取れるかを見ます。
事務所や店舗から出る紙ごみは事業系一般廃棄物ですが、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずは産業廃棄物です。収集運搬を業として行う場合、一般廃棄物は市町村長、産業廃棄物は都道府県知事の許可が必要です(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第1項・第14条第1項、同施行令第2条、2026-09-05確認)。排出物の区分と搬出の範囲を、清掃作業の範囲とは別に整理します。
法令上の清掃と契約上の頻度を区別する

法令上の清掃要件と、日常清掃の契約条件は同じではありません。発注者は施設が特定建築物に該当するかを確認したうえで、日常の回数・範囲・時間帯を仕様書で定めます。
特定建築物に該当する場合の清掃要件
特定建築物に該当する場合、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第4条の5第1項は、日常行う清掃に加え、大掃除を6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うことを定めています。これは特定建築物に該当する場合の要件であり、オフィス・事業所のすべてに同じ頻度を求めるものではありません(2026-09-05確認)。
特定建築物は、用途に供される部分の延べ面積などの条件で判断されます。個別の施設が該当するかは、用途・面積・管理状況をもとに所管窓口や専門家へ確認します。日常清掃の見積では、法令上の条件と、契約で追加する作業を分けて書きます。
日常清掃の回数を仕様書で決める理由
日常清掃の回数、作業項目、工法を法令が一律に定めているわけではありません。利用人数、来訪者が集中する時間、対象区画、ごみの発生場所、立入可能時間に応じて、契約の仕様で決めます。たとえば執務室とトイレを同じ頻度にするのではなく、区画ごとに必要な作業を記録します。
頻度を仕様書で定めると、月額の増減を回数だけで判断せず、どの区画の何の作業が変わったかで確認できます。オフィス清掃の費用を比べる方法では、費目と提供範囲を分けて読む考え方を説明しています。変更があるときは、見積書、仕様書、報告の項目を同じ名称で更新します。
日常清掃の見積比較チェックリスト

日常清掃の比較表は、金額を入力する前に、施設と作業の条件を並べるための表です。各社へ同じ情報を渡し、変更があった場合も同じ欄を更新すると、総額と提供範囲を見比べやすくなります。
月額の前に確認する項目
月額を確認する前に、対象区画、面積、頻度、作業可能な時間、立入条件、資機材、ごみの回収と搬出、報告方法をそろえます。品質の確認者、連絡窓口、欠員時の連絡も、金額とは別の列に置きます。追加作業が必要になった場合の連絡方法も、比較表へ残します。
現地確認で条件が変わる場合は、変更前の情報を消さず、変更日と対象拠点を記録します。これにより、月額の差が頻度の変更なのか、対象区画や提供範囲の変更なのかを確認できます。見積の空欄は推測で埋めず、同じ質問を各社へ確認します。
多拠点で共通化する項目
多拠点では、拠点名、対象区画、頻度、利用時間、報告形式、連絡先を共通の列に置きます。鍵の受け渡しや立入可能時間のような拠点固有の事情は、例外欄へ分けます。本部が共通欄と例外欄を分けて管理する方法は、多拠点清掃の一括発注の進め方で確認できます。
各拠点の事情をなくすのではなく、違いを同じ形式で残すことが目的です。分別ごみ袋の置き場、作業報告書の提出先、床材の違いなどを例外欄へ記録します。共通項目と例外を混ぜないことで、拠点の追加や仕様変更にも対応しやすくなります。
まとめ
日常清掃は、対象区画、頻度、利用時間、立入条件、報告方法をそろえてから費用を比較します。官庁施設の労務単価は直接人件費の参考情報であり、民間の月額を決める数字ではありません。法令上の要件と契約で決める日常の作業を区別し、資機材やごみ搬出の範囲も別に確認します。
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よくある質問
- Q. 日常清掃の頻度は法令で決まっていますか
- 特定建築物では、日常行う清掃に加え、大掃除を6月以内ごとに1回行うことが定められています。一方、日常清掃の回数・作業項目・工法を法令が一律に定めているわけではなく、契約の仕様で決めます(建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第4条の5第1項、2026-09-05確認)。
- Q. ごみ搬出は日常清掃に含めてよいですか
- 契約範囲として確認が必要です。事務所の紙ごみと、廃プラスチック類・金属くず・ガラスくずでは区分が異なり、収集運搬を業として行う場合の許可主体も異なります(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第1項・第14条第1項、2026-09-05確認)。
- Q. 面積だけで月額を比較できますか
- 面積だけでは比較できません。頻度、時間帯、対象区画、立入条件、資機材、報告方法などをそろえてから総額を確認します。面積は比較表の一項目とし、作業範囲と提供範囲を対応させます。
出典
- 1.建築保全業務労務単価(mlit.go.jp)
- 2.建築物における衛生的環境の確保に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 3.建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(laws.e-gov.go.jp)
- 4.廃棄物の処理及び清掃に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 5.廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(laws.e-gov.go.jp)