定期清掃の費用を作業条件で読む方法|比較前の確認項目
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
定期清掃の費用は、作業種別の名前だけで比べず、面積、範囲、実施時間、立入条件をそろえて確認します。床清掃やガラス清掃といった名称が同じでも、対象の床材、作業する区画、作業できる時間が違えば、見積の総額が指す範囲も変わります。比較の前に条件を分解します。
定期清掃は、日常の清掃とは別に、計画した時期に特定の作業を行う契約上の区分です。発注者は、作業の種類、対象範囲、実施回数、報告方法を一つずつ記録し、同じ条件で総額と提供範囲を確認します。
定期清掃の費用を比べる前提

定期清掃の比較前提とは、何を、どの場所で、いつ実施するかを見積ごとに同じ形式へ整えることです。作業名称だけでは範囲が分からないため、対象区画、面積、床材やガラス面の状態、実施可能な時間を合わせて記録します。
| 比較する条件 | 記録する内容 |
|---|---|
| 作業種別 | 床の洗浄、樹脂ワックス、ガラス面などの作業区分 |
| 対象範囲 | 区画、面積、床材、対象外の場所 |
| 実施条件 | 回数、時間帯、入退館、立入可能な時間 |
| 結果の確認 | 作業報告書、写真、確認者、連絡事項 |
作業種別と作業範囲を分ける
作業種別は、見積の比較を始めるための入口です。たとえば床の作業でも、執務室、エントランス、給湯室、通路では対象面積や汚れ方が異なります。床みがき機を使う作業、樹脂ワックスを扱う作業、スクイジーを使うガラス面の作業は、対象区画と実施する内容を分けて記載します。
範囲には、実施する場所だけでなく、作業しない場所や、家具の移動が必要な場所も含めます。作業の名称を同じにしていても、準備や片付けの条件が違う場合は比較表の別欄に残します。作業種別を細かくする目的は、工程を評価することではなく、発注する範囲を誤解なく伝えることです。
面積・高所・時間帯・立入条件をそろえる
面積は、対象区画と一緒に記録します。高い位置のガラス面、通常は使わない区画、立入に受付手続きが必要な場所は、面積だけでは表せません。作業可能な時間帯、入退館の方法、利用者がいる時間の制約を、各社へ同じ資料で伝えます。
時間帯は、総額に関わる比較条件として別の列に置きます。国土交通省「令和8年度 建築保全業務労務単価」では、時間外・休日・夜間の単価を日割基礎単価へ率を乗じて算出する仕組みがあります(2026-09-06確認)。民間の契約金額を決める基準ではありませんが、時間帯と通常の作業条件を分けて確認する必要性を理解する材料になります。
見積に含まれる費目を読む

定期清掃の見積は、現場で行う作業に直接関わる費用だけでなく、資機材、移動、報告、管理の範囲を合わせて読みます。総額の差を一つの単価へ置き換えず、何が含まれるかを作業条件と対応させます。
直接人件費と管理費等の考え方
国土交通省「令和8年度 建築保全業務労務単価」における清掃員の全国平均は、1日8時間の直接人件費の参考単価として16,793円です。清掃員A〜Cの3区分と全国10地区で設定され、区分・地区による日割基礎単価は13,400円〜23,700円です(国土交通省「令和8年度 建築保全業務労務単価」別紙、2026-09-06確認)。
この単価には、法定福利費、研修訓練などの業務管理費や一般管理費等の諸経費は含まれません。官庁施設の直接人件費を積算するための参考単価であり、民間の外注契約単価を拘束しません。見積の総額では、直接作業に関わる内容と、報告・連絡・管理の提供範囲を別に確認します。費目と提供範囲を分けて読む考え方は、オフィス清掃の費用を比べる方法でも確認できます。
移動・駐車・資機材の扱いを確認する
移動や駐車に関わる条件は、施設の所在地や作業時間だけでなく、資機材を持ち込む方法によっても変わります。清掃用カート、真空掃除機、床みがき機、洗剤を誰が手配するかを、作業種別ごとに確認します。消耗品と機械器具を同じ言葉でまとめず、通常の作業に含まれるものと追加確認するものを分けます。
資機材の保管場所や搬入経路が必要な場合は、現地確認で分かった内容を比較表に反映します。駐車の可否や入館手続きも、金額そのものではなく実施条件として記録します。条件が異なるまま総額だけを比較しないことが、追加確認を減らす基礎になります。
公表例を相場と混同しない

公表された公共契約は、個別の契約情報として確認できる例です。対象面積、作業範囲、実施時間、資機材などが公表されていない場合、金額を一般的な費用として扱うことはできません。
個別契約の条件不明を明記する
福島県が公表するいわき合同庁舎維持管理業務委託の入札・契約結果には、令和8年度の清掃業務の契約金額7,689,000円が掲載されています(2026-09-06確認)。新潟市水道局が公表する令和7年度の入札・契約結果一覧には、北工事事務所庁舎清掃業務の契約額(総額)3,049,200円が掲載されています(2026-09-06確認)。本記事で確認できる範囲では、どちらも対象面積・仕様が分からないため、金額が異なる理由を推測しません。
公表例に触れるときは、契約名、年度、金額、確認日と、分かる業務区分を近くに置きます。分からない面積、頻度、作業時間を補って説明しないことが重要です。自社の比較表には、各社へ提示した同一の作業条件だけを入力します。
面積当たりの金額化を避ける理由
面積当たりの金額を出すには、対象面積と、その面積に対して行う作業範囲が必要です。定期清掃では、床材、家具の有無、利用時間、立入条件、作業回数でも条件が変わります。公表された契約額の面積や仕様が不明な場合、面積当たりへ換算すると、実際には存在しない比較条件を作ることになります。
公表例は、契約の単位や公表のされ方を確認する資料として使います。自社の見積を比較する際は、面積、範囲、実施時間、資機材、報告方法を先にそろえます。金額を比較できるのは、これらの条件を同じ形で渡した後です。
定期清掃の比較表に入れる項目

定期清掃の比較表は、作業の範囲と条件を横に並べ、総額を読むための道具です。作業種別、対象区画、面積、実施時期、時間帯、立入条件を同じ順番にしておくと、見積の差を質問しやすくなります。
実施回数と報告方法をそろえる
実施回数は、年間の回数だけでなく、どの時期にどの区画で行うかを記録します。日常清掃と同時に行うのか、別日に実施するのかも、作業範囲と合わせて確認します。作業後の報告書では、実施日、対象区画、完了した作業、連絡事項、確認者をそろえます。
報告に写真を使う場合は、写真が示す区画と作業項目を結び付けます。単に作業前後の画像を並べるのではなく、どの作業が報告対象かを仕様書と対応させます。実施回数と報告の扱いを同じ表で確認すると、総額に含まれる確認体制も読みやすくなります。日常の作業条件との違いは、日常清掃の費用を比較する条件で確認できます。
変更時・追加時の扱いを確認する

区画の増減、家具配置の変更、予定外の汚れへの対応など、定期清掃では開始後に条件が変わることがあります。変更の連絡先、見積の確認方法、作業報告への記録方法を、契約前に整理します。追加作業を依頼する場合も、通常の範囲と混ぜず、対象、実施日、確認者を記録します。
複数拠点で実施する場合は、共通条件と拠点ごとの例外を分けます。多拠点清掃の一括発注の進め方で紹介しているように、拠点台帳と例外欄を使うと、条件変更を比較表へ反映しやすくなります。変更の履歴を残すことで、次回の定期清掃の範囲も確認できます。
まとめ
定期清掃の費用は、作業種別、対象範囲、面積、実施時間、立入条件、資機材、報告方法をそろえてから比較します。官庁施設の労務単価や公表契約の契約額は、民間契約の金額へ置き換えず、条件を読むための参考情報として扱います。変更と追加作業の扱いまで確認し、総額と提供範囲を対応させます。
費用・相場に関する考え方は費用・相場の記事一覧で確認できます。ほかのテーマはブログ一覧から探せます。掲載内容への意見・質問、訂正の連絡、取材・引用についてはお問い合わせをご利用ください。
よくある質問
- Q. 作業種別が同じなら金額を比べられますか
- 作業種別が同じでも、対象面積、作業範囲、実施時間、立入条件、資機材などが異なれば総額の意味は変わります。比較表には金額だけでなく、条件も並べます。条件に空欄がある場合は、同じ質問を各社へ確認します。
- Q. 夜間作業は同じ条件で扱えますか
- 時間帯は比較条件として分けます。国土交通省の「令和8年度 建築保全業務労務単価」では、時間外・休日・夜間の単価を日割基礎単価へ率を乗じて算出する仕組みがあります(2026-09-06確認)。民間の外注契約単価を拘束するものではないため、実施時間と提供範囲を同じ資料で確認します。
- Q. 公表された契約額を比較表に使えますか
- 面積・仕様が分からない公表契約額は、条件不明の個別例にとどめます。新潟市水道局の北工事事務所庁舎清掃業務の契約額(総額)3,049,200円も、他施設の面積当たりの金額や一般的な費用として扱いません(新潟市水道局「令和7年度 入札(見積合わせ)結果一覧表 委託」、2026-09-06確認)。
出典
- 1.建築保全業務労務単価(mlit.go.jp)
- 2.いわき合同庁舎維持管理業務委託に係る条件付き一般競争入札・結果(pref.fukushima.lg.jp)
- 3.令和7年度 入札(見積合わせ)結果一覧表 委託(city.niigata.lg.jp)