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病院・クリニックの清掃発注|委託条件の確認ポイント

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

病院・クリニックの清掃発注は、病院に適用される受託者基準と、診療所に同じ基準が及ばない違いを分けて仕様を確認します。病院とクリニックを同じ施設類型として扱うと、医療法上の委託条件と、契約で決める作業範囲・報告方法が混ざりやすくなります。まず施設の区分を確認し、そのうえで対象区域と作業条件を整理します。

医療法の清掃委託基準は、病院が対象施設の清掃を委託する場合の受託者に関する基準です。清掃の頻度や作業項目を一律に定める規定としては扱いません。複数の医療施設を本部で管理する場合は、多拠点清掃の一括発注の共通項目と、病院に必要な確認項目を分けて管理します。

病院・クリニックの清掃発注で分ける前提

病院が診療または入院の用に供する施設の清掃を委託する場合、医療法第15条の3第2項は、厚生労働省令の基準に適合する者へ委託することを定めます。対象となる清掃業務は医療法施行令第4条の8第7号、受託者の基準は施行規則第9条の15にあります。診療所・助産所が委託する場合は、施行規則第9条の15ただし書により同条の基準が適用されません。

施設の区分清掃を委託するときの整理
病院受託責任者、従事者、機器、標準作業書、業務案内書、研修の基準を確認する
診療所・助産所施行規則第9条の15の受託者基準は適用されない
共通の契約事項対象区域、時間帯、立入条件、報告方法、変更時の連絡を仕様で決める

施設区分の確認は、見積書に書かれた作業名だけで済ませず、発注する場所と委託条件を対応付けて行います。病院の事務部門、施設管理部門、現場の確認者が同じ区分を使うと、契約上の条件と法令上の確認事項を分けて記録できます。

病院とクリニックの委託条件を分けて整理する図
病院とクリニックの委託条件を分けて整理する図

病院に適用される清掃委託の基準

病院が委託する清掃は、診療・入院の用に供する施設の清掃業務が対象です。医療法第15条の3第2項、施行令第4条の8第7号、施行規則第9条の15を、2026-09-05にe-Govの医療法・施行令・施行規則で確認しました。この基準は受託者に関するもので、清掃を何回行うかを定めるものではありません。

診療所・助産所との適用差

施行規則第9条の15ただし書は、診療所・助産所における当該業務の委託には同条を適用しないと定めます。したがって、病院に適用される同条の受託者基準を、クリニックへ同じように当てはめません。対象区域、時間帯、作業内容、報告方法は、施設の利用条件を確認して契約で整理します。

病院で確認する委託条件

病院の委託条件は、受託者の基準と、発注側が定める仕様を分けて確認します。基準に含まれる責任者、従事者、機器、文書、研修は、見積比較の評価語ではなく、契約前に確認する項目です。各社へ同じ情報を渡すために、発注者向けの清掃仕様書の作り方で対象区域と報告項目を整理します。

確認した資料の名称、確認日、確認者を一覧に残すと、契約更新や担当者交代時にも同じ条件を確認できます。基準に関する確認と、施設の利用条件から決めた作業条件を別の欄にすると、契約書と作業報告書の照合もしやすくなります。

病院の委託条件と清掃用具を確認する図
病院の委託条件と清掃用具を確認する図

受託責任者・従事者・機器の確認

施行規則第9条の15は、施設の清掃に相当の知識・経験を有する受託業務の責任者と、必要な知識を有する従事者が、受託業務を行う場所に置かれることを定めます。必要な機器には真空掃除機、床みがき機その他の清掃用具一式が含まれます。清潔区域の清掃を行う場合は、高性能エアフィルター付き真空掃除機または代替機能を持つ機器を有することも同条の基準です。

標準作業書・業務案内書・研修の確認

施行規則第9条の15は、標準作業書を常備して従事者へ周知することを定めます。標準作業書には区域ごとの作業方法、清掃用具・消毒薬等の使用および管理の方法、感染の予防が含まれ、業務案内書には業務内容・作業方法、清掃用具、管理体制が含まれます。従事者に適切な研修を実施していることも同条の基準であり、契約前の確認事項として扱います。

契約仕様と報告方法を整理する

対象区域、作業時間帯、立入条件、作業報告、変更連絡は、医療法上の受託者基準とは別に契約仕様で決めます。依頼する情報の整理には、清掃見積の依頼時に伝えるべき情報を使い、通常作業と例外対応を分けます。建築物清掃業登録を発注者が確認する方法も、契約前に制度情報を読む際の参考になります。

施設別に進める発注手順

発注手順は、施設の区分を確認し、区域ごとの作業条件を決め、作業後の確認方法をそろえる流れです。病院では受託者基準の確認を含め、クリニックでは同基準を適用する前提にしないことが出発点になります。施設図面と利用時間を用いて、清掃用カートや真空掃除機を持ち込む経路も発注条件に含めます。

日常の利用予定と清掃の予定が重なる区域は、通常時の作業条件と変更時の連絡を分けて記載します。作業後の報告を受ける担当と、区域の利用可否を判断する担当を明確にすれば、現場での確認を一つの連絡先に集中させずに済みます。

施設区分から品質確認までを示す発注手順図
施設区分から品質確認までを示す発注手順図

対象区域と作業条件を整理する

対象区域は、利用目的、立入条件、作業可能な時間帯ごとに区分して記載します。たとえば診療の用に供する場所、待合の場所、職員が使う場所では、発注側が確認する作業時間や入室の条件が異なります。区域名を施設図面、仕様書、作業報告書で統一すると、変更時の連絡先と確認者を対応付けやすくなります。

品質確認と変更時の連絡を決める

作業報告には、実施日、対象区域、通常と異なる対応、確認者を記録する項目を設けます。立入不可、利用時間の変更、作業者の変更が生じた場合は、誰が連絡を受け、どの記録へ残すかを仕様で決めます。確認結果を次回の作業条件へ反映する手順を決めておくと、契約更新時の見直しにも使えます。

費用・頻度の扱いで混同しないこと

病院の清掃発注では、受託者基準、清掃頻度、再委託に関する記述を混同しないことが重要です。医療法令にある基準を、契約金額や回数を一律に決める根拠として使いません。頻度や作業範囲は、区域と利用条件を確認して契約仕様で定めます。

清掃頻度と再委託を混同しないための図
清掃頻度と再委託を混同しないための図

清掃頻度を医療法上の回数としない

医療法、施行令、施行規則は、病院清掃の頻度や作業項目を定めていません。病院はビル管法の特定建築物にも該当しないため、ビル管法の大掃除を6か月以内ごとに1回行う定めを一律に当てはめません。特定建築物での清掃と記録の考え方は、建築物環境衛生管理基準の清掃で確認できます。

再委託禁止を法令上の定めとしない

医療法、施行令、施行規則には、病院清掃の再委託を禁じる規定はありません。再委託の有無や役割分担、報告の扱いは、個別の契約条件として確認します。法令上の禁止と断定せず、発注側と受託側の連絡・確認の責任を契約書と仕様書で明確にします。

まとめ

病院・クリニックの清掃発注では、病院に適用される受託者基準と、診療所・助産所への適用除外を分けて確認します。病院では受託責任者、従事者、機器、標準作業書、業務案内書、研修を確認し、対象区域や報告方法は契約仕様として整えます。清掃頻度や再委託を医療法令上の一律要件とせず、施設ごとの利用条件と役割分担を明らかにします。

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よくある質問

Q. 医療法は清掃頻度を定めていますか
医療法の清掃委託基準は、病院が対象施設の清掃を委託する場合の受託者に関するものです。清掃頻度や作業項目を定める規定としては扱いません。根拠は医療法第15条の3第2項、施行令第4条の8第7号、施行規則第9条の15で、2026-09-05にe-Govの医療法・施行令・施行規則で確認しました。
Q. 病院清掃は再委託できませんか
医療法、施行令、施行規則には、病院清掃の再委託を禁じる規定はありません。契約上の役割分担や報告の扱いは、個別の契約条件として確認します。根拠条文の確認は、2026-09-05にe-Govの医療法・施行令・施行規則で行いました。
Q. クリニックにも同じ受託者基準が適用されますか
施行規則第9条の15ただし書により、診療所・助産所が清掃業務を委託する場合には同条の基準は適用されません。病院に適用される基準を、そのままクリニックへ当てはめません。根拠は医療法施行規則第9条の15で、2026-09-05に確認しています。

出典

  1. 1.
    医療法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    医療法施行令(laws.e-gov.go.jp)
  3. 3.
    医療法施行規則(laws.e-gov.go.jp)