ねずみ・昆虫等防除と清掃|発注範囲を分けて確認するポイント
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
特定建築物では、日常清掃とは別に、ねずみ等防除の定期調査と結果に基づく措置が定められています。発注者は、日常清掃、大掃除、防除の調査、調査結果を受けた措置を一つの作業として扱わず、契約範囲、報告、帳簿書類を分けて確認します。
日常の清掃頻度は、施設の利用状況と契約条件により決めるもので、法令が毎日又は週ごとの実施回数を定めるものではありません。防除については、専門的な方法や薬剤を一般論で指定せず、調査結果、施設の状態、責任者の判断をもとに扱います。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第4条の5第1項・第2項と、同法第10条、施行規則第20条を確認します。法律の改正日 2022-06-17、施行規則の現行版施行日 2026-10-01、確認日 2026-10-04です。日常清掃の頻度は法令で定めず、大掃除と防除の調査を別に定めます。
施行規則第4条の5では、大掃除を6月以内ごとに1回、ねずみ等の防除のための調査を6月以内ごとに1回行い、その調査結果に基づいて必要な措置を講ずることを定めています。二つの「6月以内ごとに1回」を、日常清掃の頻度や薬剤による処置の頻度と読み替えないことが重要です。
| 特定建築物で分ける業務 | 法令・契約上の確認 | 記録で追う事項 |
|---|---|---|
| 日常清掃 | 施設条件と仕様の頻度 | 区域・実施日・例外 |
| 大掃除 | 6月以内ごとの実施 | 実施時期と対象 |
| 防除調査 | 6月以内ごとの調査と措置 | 結果・判断・再確認 |
清掃と防除を分けて理解する
日常清掃、大掃除、防除は、対象、目的、確認の方法が異なります。発注時には、何をいつ行うかだけでなく、どの記録を誰が受け取り、施設側のどの担当が確認するかを分けます。
日常清掃の頻度を混同しない
日常清掃の頻度は、利用者数、用途、営業時間、汚れやすい区域、施設の運用、契約仕様を踏まえて決めます。法令上の大掃除や防除調査の周期を理由に、日常清掃を同じ周期で行うべきだと結論付けることはできません。入口、トイレ、廊下、バックヤードなど、区域ごとの条件を仕様書に記載します。
日常清掃の記録には、実施日、対象区域、作業内容、未実施又は例外の理由を残します。頻度を変えるときは、利用状況の変化、変更する区域、開始日、検収方法を明らかにします。苦情や汚れの発生を理由に臨時対応を行った場合も、通常の頻度を変更したのか、一回限りの対応なのかを区別します。

防除の調査を確認する
ねずみ等の防除では、まず調査の対象場所、実施時期、調査を担う者、結果の報告先を確認します。調査の結果に基づく措置が求められるため、調査をしたという記録だけで終えず、結果を受け取る施設側の担当を決めます。清掃会社が防除を行う契約であっても、調査と清掃の報告を同じ項目にまとめません。
調査対象には、建物の用途、利用状況、過去の発生、設備周辺など、施設ごとに確認すべき事情があります。調査の方法、薬剤の選定、駆除方法などは、一般記事から指定せず、専門的な知見を持つ事業者、施設の担当者、一次資料で確認します。結果を受けて措置が不要と判断した場合も、判断の根拠と確認日を残します。

発注範囲を整理する
清掃と防除の契約が一つか別々かにかかわらず、対象場所と報告の単位を明確にします。担当が異なる業務を同じ依頼書に書く場合も、実施者、責任者、検収者を区別し、変更時の連絡が混線しないようにします。
対象場所と報告を分ける
清掃の対象区域と、防除の調査対象となる場所は必ずしも一致しません。例えば、通常の清掃区域のほかに、設備室、収納、廃棄物の一時保管場所、外周部などを調査する必要がある場合があります。区域図に業務ごとの対象を表示し、対象外の場所も分かるようにします。
報告書では、清掃の実施状況、防除調査の結果、異常の発見、施設側への連絡、継続確認の必要性を別欄にします。建築物環境衛生管理基準の清掃と清掃仕様書の作り方を参照し、業務の名称だけでなく、対象・時点・確認者が分かる書式にします。

結果に基づく措置を確認する
防除の調査結果に基づく措置では、結果を見ないまま定型的な作業を決めないことが必要です。発見された状況、対象場所、利用状況、施設の運用上の制約を確認し、誰が措置の内容を判断するかを明らかにします。清掃の追加作業と、防除に関する措置は、依頼・承認・報告の記録を分けます。
措置を実施した場合は、実施日、対象場所、実施者、関係者への連絡、次の確認日を残します。専門的な処置の内容を、発注者が一般的な説明だけで指定することは避けます。必要に応じて、施設の管理者や専門家が一次資料を確認し、利用者や周辺への影響も含めて判断します。

記録を残す
特定建築物の帳簿書類では、清掃やねずみ等防除に関する記録を求められる場合があります。委託先の作業報告と、法令上の帳簿書類の対象・保存を混同しないよう、資料の種類と担当を整理します。
帳簿書類の対象を確認する
法第10条と施行規則第20条により、帳簿書類の記載・備付け・保存に関する事項が定められています。清掃及び掃除の実施状況と実施年月日、ねずみ等の防除の実施状況と実施年月日については、どのような報告を帳簿へ反映するか確認します。防除の調査結果や措置の記録についても、対象となる記録の範囲を条文に照らします。
帳簿書類のための記録と、契約上の検収・写真・苦情対応の資料は、同じ保管場所にあっても目的が異なります。特定建築物の清掃記録を参考に、対象建築物、実施日、記録種類、受領者を確認できる形で整理します。

保存と確認の担当を決める
委託先からの報告を受ける担当、帳簿書類を整理する担当、施設の維持管理を確認する担当が異なる場合は、引継ぎの流れを決めます。受領した資料に対象場所や実施日が欠けるときは、推測で補わず、委託先へ確認します。保存先は、対象期間と記録の種類で検索できるようにします。
定期調査の期限、措置後の再確認、帳簿の保存状況を、同じ担当者の記憶だけに任せません。担当変更時には、未提出の報告、確認待ちの結果、次の実施時期を引き継ぎます。施設の規程により電子保存を行う場合も、誰が閲覧し更新するかを明確にします。
専門作業を断定しない
防除には、対象となる生物、発生状況、建物構造、利用者、設備など、施設ごとに異なる事情があります。清掃契約の一般論から、薬剤、駆除方法、実施場所、処置の要否を一律に決めないことが必要です。
薬剤・駆除方法を一般化しない
薬剤や駆除方法を選ぶ場合は、調査の結果、施設の使用状況、関連する安全上の条件、専門家の判断を確認します。清掃の報告書に「防除済み」とだけ書いても、何を確認し、誰が判断したかをたどれなければ、次の措置を検討できません。必要な範囲で対象場所、実施日、連絡先、確認結果を残します。
発注者は、方法を細部まで指示するより、調査結果に基づいて必要な措置を提案・報告する体制を契約で確認します。利用者への案内、作業可能時間、立入りの制限が必要な場合は、施設側の窓口と連携します。専門的な判断が疑わしいときは、一次資料や適切な専門家に戻ります。
ねずみ等の防除と日常清掃を連携させるときは、清掃担当者が見つけた痕跡や異常を、通常の作業完了報告とは分けて記録します。発見場所、日時、周辺の状態、すでに行った清掃を残すと、防除を担当する事業者が確認する範囲を整理しやすくなります。見つけた状況だけで原因や発生源を断定せず、必要な調査へつなげます。
大掃除や防除のための調査を予定する際には、施設の利用予定、清掃区域、立入りの可否を確認します。日常清掃の頻度を増やすことと、防除の調査や必要な措置を実施することは、同じ記録にまとめず目的を分けます。管理する担当者は、予定日、実施結果、次に確認する事項を年間の計画へ反映します。
防除を依頼する事業者へ渡す情報は、発見記録のほか、区域図、清掃の実施状況、利用者が立ち入る時間帯です。薬剤や駆除方法の選定は、発注者が一般的な清掃の経験だけで決めず、対象となる施設の条件を踏まえて専門家へ確認します。委託先が複数ある場合は、誰が調査結果を受け取り、必要な対応を指示するかを明確にします。
防除後の確認では、実施した措置の有無だけでなく、清掃側で変更する作業、保管方法、連絡の仕方があるかを確かめます。同じ場所で再び異常が見つかった場合は、前回の記録と照合し、時期や周辺状況に違いがないかを見ます。結果を月次の清掃報告へ転記するなら、防除の記録との参照先を示します。
建築物の衛生管理に関する記録は、清掃会社が作成した資料を受け取るだけで完結しません。発注者側でも、法令上の確認が必要な事項と、契約上の改善依頼を区別して保管します。定例打合せでは、未確認の区域、調査の予定、清掃仕様へ反映した内容を順に確認します。
防除に関する依頼を施設管理の中で扱うときは、清掃の委託先から届く情報を、発見報告、調査の依頼、実施後の確認に分けて管理します。ねずみ等の痕跡があった区域では、通常の清掃で改善した状態と、専門的な調査が必要な状態を同じ結論にしません。防除を担当する事業者からの報告を受けたら、清掃仕様や利用者への案内に反映する事項があるかを確認します。次回の調査までに観察する場所と連絡先を記録すると、継続した管理につながります。
大掃除と防除調査の予定は、日常清掃の予定表とは別に管理し、実施日、対象場所、報告の受領、次の確認時期を追えるようにします。施設の改装や用途変更、利用時間の変更があった場合には、調査の対象区域や帳簿書類の分類も見直します。定期の実施を目的化せず、調査結果に基づく必要な措置と、その後の確認までを記録に残します。
まとめ
ねずみ・昆虫等防除と清掃では、日常清掃、大掃除、防除調査、調査結果に基づく措置を分けます。特定建築物の法令上の周期と帳簿書類を確認し、専門的な方法は施設の状況と一次資料に基づいて判断することが重要です。
法令・制度解説の記事一覧と記事一覧も活用し、防除と清掃に関係する確認項目を整理してください。
よくある質問
- Q. 日常清掃は法律で毎日必要ですか
- 法令上、毎日の実施は定められていません。建築物衛生法令は日常清掃の回数や範囲を定めておらず、契約で決めます。特定建築物では大掃除の頻度や防除の調査に別の定めがあるため、それぞれを混同しません。
- Q. 防除は清掃契約に含めてもよいですか
- 契約上の範囲として扱うことはありますが、清掃と防除の対象、報告、確認資料を分けます。方法や薬剤の判断は、一般記事で決めず、調査結果と専門的な確認に戻します。
- Q. 防除に関する記録は残す必要がありますか
- 特定建築物では、清掃やねずみ等防除に関する帳簿書類を確認します。委託先の報告を受ける担当、帳簿を整える担当、保管場所を決め、条文上の対象範囲を確認します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.建築物における衛生的環境の確保に関する法律(laws.e-gov.go.jp)
- 2.建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(laws.e-gov.go.jp)